YOKOHAMA RePLASTIC“プラスチック対策の取り組み”

YOKOHAMA FOOD LOVE“食品ロス削減の取り組み”

企業・団体の皆様の
プラスチック対策の取り組みをお寄せください

2023年度に引き続き、2024年度も「YOKOHAMA RePLASTIC」では産・官・学の連携によるプログラムに取り組みます。昨年同様、関東学院大学社会学部の湯浅陽一教授の寄稿文をこちらに掲載します。

プラスチックのリサイクルの複雑さ・難しさと共進性

更新日:2024.03.29

プラスチックをめぐる諸問題はリサイクルだけでは解決しない。また、現在のリサイクルでも解決しない。プラスチック問題への対策には、使用量を減らすこと(リデュース)、再利用すること(リユース)、既存の他の素材に置き換えること、新しい代替素材を開発すること、そしてリサイクルすることなどの方法が挙げられる。しかし、いずれか一つでよいというものではなく、これらの方法すべてを最大限に活用していくことが求められる。

現在のリサイクルにも課題は多い。その筆頭が、プラスチックを燃やした熱を利用するというサーマルリサイクルへの依存の高さである(プラスチック資源循環協会によれば、2021年には廃プラスチックの87%がリサイクルされているが、62%はサーマルリサイクルである)。2022年4月施行のプラスチック資源循環促進法は、リデュースやリユース、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルをサーマルリサイクルよりも優先するとしており、今後はサーマルリサイクル以外の方法へのシフトが進められることになる。

困ったことに、プラスチックはリサイクルしやすい素材ではない。一言でプラスチックというが、これはポリエチレンやポリスチレンなど様々な種類の総称である。マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルをしようとすると、プラスチックとして一括りにせず、種類ごとに分けなければならない。しかし多くの消費者にはこの種類の見分けは難しいし、1つの製品で複数の種類のものが組み合わせられていると、それを解体することも必要になる。また、汚れていないことも重要である。家庭で出たものであれば洗って出すこともできる。しかし、ペットボトルや弁当容器のメリットの1つは、出先で利用できることにある。出先でのごみを洗って捨てる人はかなり少数だろう。細かく分ける必要がなく、汚れたままでもいいサーマルリサイクルは、かなりやりやすい方法である。ここから抜け出すには相応の取り組みが必要となる。

サーマルリサイクルからのシフトのためには、製造段階、利用・消費段階、リサイクル段階のそれぞれでの取り組みがきちんと噛み合うことが求められる。製造段階でリサイクルしやすいようにと作っても消費者からすると違っていたり、消費者が分別したものはリサイクルの視点ではあまり効果がなかったりということでは困る。

プラスチックという素材のリサイクルのしにくさを考えると、異なる立場の人々の相互の交流が重要となる。相互の緊密なコミュニケーションからお互いが変化をするという共進性による持続可能性の向上が求められる。

関東学院大学社会学部
湯浅陽一

湯浅(ゆあさ) 陽一(よういち)

関東学院大学社会学部長
法政大学大学院修了。博士(社会学)
2006年度関東学院大学着任。2023年度より現職。
著書に『政策公共圏と負担の社会学』(2005年、新評論)、『エネルギーと地方財政の社会学』(2018年、春風社)など。

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